萌えゲー解説

「アンレス・テルミナリア」感想&レビュー動画【Whirlpool】

アンレス・テルミナリア 感想&レビュー動画

概要

2022年に3月に「Whirlpool」より発売されたゲーム。同ブランドの15周年を記念して制作された作品。

神によって一部の人間が「ギフト」と呼ばれる特殊な力に覚醒するようになった世界で、一番大切な物しか記憶できない主人公が過酷なる試練に立ち向かうファンタジー。壮大で切ない世界観が魅力です。

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評価

  • ストーリー : 8点
  • ワードセンス : 7.5点
  • キャラクター : 8点
  • エロ&グラフィック : 8点
  • その他 : 6点

総合評価:37.5点(50点満点)

あらすじ

世界の創造主にして世界を見守る存在「神」。

その神の計らいによって特殊な力「ギフト」に目覚めてしまい日常生活をおくるのが困難になってしまった人々が集まる場所「サナトリウム」が物語の舞台。

主人公の「小早川祈」も例に漏れずギフトの所有者で、寝ると自らが決めた一つのこと以外は全ての記憶を失うというよくわからないギフトに目覚め、サナトリウム内の世間から隔絶された学園に通っていた。

異常な状況ながらも周囲の助けもあり、まあまあ平穏に日々を過ごしていたが、ある日御厨恋という「近いうちに自分は死んでしまう」と公言する女の子が編入してきたことで、世界すらも巻き込む「運命」の渦に落ちていく・・・って話です。

ファンタジーものですね。

概要のとおり壮大な物語で、とても個人では抱えきれないような過酷な運命に翻弄される中、道を迫られる主人公たちがどんな決断をするのか、その迷いや葛藤と選択の行く末がストーリーの大きな軸となっていきます。

キャラクター紹介

御厨恋

ここ最近ギフトに目覚めてしまい転入してきた同級生。

華のある容姿とキャラクターで、かつては芸能活動もおこなっていたもよう。

主人公には出会った瞬間から運命を感じているようで、もと芸能人なだけに人を扱いなれてることもあり、初日からぐいぐい主人公を誘惑しては振り回してきます。

いつも元気で明るくて押しかけ女房のような強引さがありつつも、乙女の恥じらいも持っているという、ロッカーの前で「彼女」って言ったらでてきそうな女の子。

そんな男の理想を体現したようなキャラな一方で、かなりダイレクトな呪いじみたギフトを持っていて、不自然なほどのポジティブさの裏に闇が垣間見えるという、相反する陰と陽の両極を兼ね備えている点がポイントでしょうか。

無尽蔵のバイタリティに大いなる試練を抱えていることも含めて、主人公っぽいヒロインって感じがしますね。

自分の魅力をしっかり理解したうえでの言動が多くて良くも悪くも「強さ」が光るから、万人に受けるかはわからないですが、刺さる人には完璧に理想なヒロインになりそうな印象です。

りな

主人公にだけ見えないし声も聞こえないという特異な体質をもったケモ耳系ヒロイン。

見た目通り猫に近い生態をしていて、しょっちゅう主人公の部屋にやってきては、いつの間にかふらっとどこかに消えるといった行動パターンをしています。

言動こそ気まぐれながら主人公には熱い友情を感じていて、何かと生活面をサポートしてくれるいいやつ。

記憶と他者からの認識という喪失しているものの違いこそあれど、置かれた状況というか
本質的な部分が主人公と一番近い存在かもですね。

個別ルートはいつ崩れるとも知れぬ崖の上の極限の孤独の中で出会った二人が、惹かれあう話って感じです。

中盤くらいで泣きそうになりました。

橘シャロン

葬者連盟というギフトを活かした仕事を担う組織に所属している女の子。

特異な能力故に複数のギフトを併せ持つ生まれながらのエリートだが、何故か一般人である主人公を意地の悪い感じでいじってくる後輩。

事あるごとに記憶を飛ばすのをいいことに、あることないこと吹き込んではたぶらかしてくる魔性の女です。

テキストだと伝わりませんが、しなをつくるようなくせのある語り口が色っぽくて可愛い。

とにかくハイスペックで切れ者で、登場時から何事にも動じず全てを見通している感じを崩さない無敵風味のヒロインですが、自らのギフトと言う名の運命に縛られ続けたゆえに相応の影も抱いていて、その心の鉄壁をほぐしていくみたいな話になります。

普段は飄々としてますが、攻略するとママみがめっちゃ強くなってめちゃくちゃ甘えさせてくれます

さあ年下小悪魔の前で己のおぎゃりたい欲求を開放せよ!

ルチア=ヴァリニャーノ

見た目はも口調もロリっ子だが上級生。

かつては一世を風靡した「ヴァリニャーノ神言教」の教主であり、所有するギフトは神の声を聞けて契約を交わせば神の力を行使できる「神言」。

ようは世界のデバッグメニューを起動できるみたいな能力で、最上級チートと言っても過言ではないです。ただしいまは封印されています。

当世でも最高と呼ばれるギフト持ちなこともあってか、普段からわりと偉そうにふんぞり返っているものの、威厳とか皆無ですぐに自爆してあわあわするなど漂う雑魚キャラ感。

周りからは無視されるはからかわれるは、生暖かい目で見られるなど、およそ強キャラの設定とは思えない扱いを受けています。まさにみんなのペットですね。

このルチアがまあいじらしすぎるというか、あまりにも健気なヒロインで、りなとは別ベクトルで泣く人はボロボロなくんじゃないでしょうか。

総合レビュー

ストーリー 8点

全体的には過酷な運命に巻き込まれた少年少女のディストピア系物語です。

前半は大まかな進行としてはゆるやかな学園物で、各キャラクターの掘り下げが行われます。

それなりに楽し気で軽妙な会話が繰り返されますが、漂うどこか空虚な雰囲気もあってそこまで明るい印象を受けないのが特徴でしょうか。表面的には賑やかな日々を過ごす中で微妙に感じる違和感というか。

とはいえシリアスなだけはなく、個別ルートではいちゃいちゃパートも確保されてはいるんですが。

そして後半からは徐々にに謎が解明しつつ、それぞれの思惑が交錯する怒涛の展開になっていきます。

ボリュームある作品ながら大小の伏線がいろいろ張られてるので、最後まで期待感を膨らませながら読めました

登場人物たちはたいがい無慈悲な試練を課せられてますが、そのなかで懸命に何かをつかもうとする高い姿は、多くの人が胸を熱くするんじゃないかなと。

とことん非現実な物語ではあるんですが、テーマとしては実は結構身近な気がして、大きな満足もなくかといった不満があるわけでもなく、そういった日々を感じている人には特にささるストーリーだと思います。

あとはそうですね、ネタバレにもつながるのであんまり詳しくは言えないのですが、終盤ではけっこうメタ世界的な話もあります。しかもそこそこの尺を使って。

こういう観念的なテーマって萌えゲーと言う媒体だと、そこまで強く求められない気がしますし、話の展開的にも省いたりもっとライトにまとめることもできたんではと思いますが、あえてぐっと2、3歩踏み込んでる感じがしますね。

賛否は分けそうですが、でもだからこそラストの余韻も強まったかなと思います。

ワードセンス 7.5点

一日ごとに頭の中が白紙になる、という設定を活かした展開が自然かつけっこうあるのが良かったです。

主人公に限りませんが、立場、才覚、絆といったようなあって当然と思っている連続性。

それらが欠落した時に起こりうる喪失をエグくない程度に、それらが埋まる喜びを丁寧に描いているので、比較的誰でも感情移入できて感動できる文章ではないかと

強いて言えば私はフルプライス作品でも2~3日でバーンとプレイしてしまうタイプなので、ちょっと同じ単語の使用が多めだったのと、主人公のどもり癖だけ少し気になりました。

最後まで読むと凡庸で臆病で普通な少年を描きたかったのかなと思って、納得感はありましたが。

キャラクター 8点 グラフィック&エロス 8点

キャラを楽しむというよりかなりシナリオ重視な作品で、主人公ががっつり物語の中心に据えられているかつ、各登場人物もその物語の中で明確な役割を持ってるからか、それぞれのヒロインも設定面はこってますが、女の子としてのキャラ付けはけっこうシンプルめかと思います。

変にごてごて色付けされてないというか。

ただ色気と柔らかさが同居する水鏡まみず氏のイラストはすごく良いですし、サービスシーンもきっちりキャラの特性を活かした感じで用意されてるので、萌えゲーとしての価値も十分です。

その他加点要素 6点

ほか特筆したい点をあげるなら、メインヒロインの声優さんが全員素晴らしいと思いました。

私はぶっちゃけCVにこだわりないというか、よほどイメージと合ってなかったり、アニメにカメオ出演するお笑い芸人クラスに素人っぽくない限りは、何でもいける雑食派です。

そのため作品選ぶ時もどの声優さんが出てるとか、あんまり気にしないタイプでして、だから得点計算時にも演技力とかは基本考慮しないんですが、それでも加点したくなるくらい良かったですね。

恋の場面ごとの声色の使い分けとか、シャロンとルチアのくせがあるのに自然な口調とか、りなのフラットなんだけど感情のわかる話し方とか。

声優さんのすごさを感じたって意味では歴代で一番かも。壮大な世界観の萌えゲーを求めている方にはオススメです。

 

評価

  • ストーリー : 8点
  • ワードセンス : 7.5点
  • キャラクター : 8点
  • エロ&グラフィック : 8点
  • その他 : 6点

総合評価:37.5点(50点満点)

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