萌えゲー解説

「缶詰少女ノ終末世界」感想&レビュー動画【シルキーズプラス】

缶詰少女ノ終末世界 感想&レビュー動画

概要

「缶詰少女ノ終末世界」は2019年にシルキーズプラスより発売されたゲーム。
同年の萌えゲーアワード、プロモーション賞受賞作品。

終末に異様な執着を見せる少女との出会いを経て、少年少女たちが世界の終末に立ち向かうお話。陰謀渦巻くミステリー要素と、突き抜けた下ネタギャグ会話が融合した、カオスな一本です。

当時はコラボ商品で鯖缶とかが発売されていたとか。

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公式サイト
FANZA

評価

  • ストーリー : 7点
  • ワードセンス : 8点
  • キャラクター : 7.5点
  • エロ&グラフィック : 7点
  • その他 : 4点

総合評価:33.5点(50点満点)

あらすじ

ある台風のような豪雨の日「小海 雅孝」は、コンビニのイートインで鯖の缶詰を食べている少女を発見した。

彼女は淡々と鯖の味噌煮を食べ終わると、周囲をまるで気にする様子もなく豪雨のなかに消えていく。

その謎な行為に脳が震えるほど衝撃を受けた彼は、何とかきっかけをつくって彼女と再会し会話を試みる。

どうしてコンビニで鯖の缶詰なんかを食べていたのかと、おそるおそる尋ねてみると彼女は答えた。世界の「終末」のための準備なのだと。

思いもよらぬ理由に戸惑う彼はまだ知らない。

終末に立ち向かう運命の中に組み込まれてしまったことを・・・といったストーリーです。

もちろん萌えゲー的な要素はありますが、物語の本筋としてはSFミステリーみたいな側面が強いですね。

キャラクター紹介

更紗 サリ

物語の冒頭で制服女子がひとりコンビニのイートインで鯖缶を食べるという、人類が未達の実績をアンロックしたことで、主人公の心に多大なる爪痕を残した女の子。

存在感が薄いというよりもゼロに近く、本当にそこにいるのか疑いたくなるようなファントム系女子。

そして物語のキーとなる「プレッパーズ」という点が特徴です。

プレッパーは例えるならヴィーガンとか、ヒッピーのように特定の思想というかライフスタイルを持っている人たちのことで、プレッパーズとはひと言で説明するなら世界の終末に備える人々のこと。

このゲーム内の造語ではなく、実存する言葉です。

自らの存在感のなさゆえにか極めて自己肯定感が低く消極的で、コミュ障をこじらせすぎてるせいか、こういう時はこういう反応を返すよねというコミュニケーションの暗黙の了解を持っていないため、全体的に会話が常にちょっとずれてる。

でもそこが可愛くてみんなの可愛いペット状態。

ただし世界の終末のことになると人が変わったように熱い語りを始めるなど、どこか周りの人間を狂わすような危険な魔性を備えています。

彼女のためにプレッパーズ部をつくるところから物語は始まります。

辻花 咲

初対面の相手だろうと頭をつかんで振り回すような、勢い余った元気さがウリの下級生。

常にポジティブで声が大きくて「おらー!」と叫び続けているニトロエンジン系女子。

反面けっこう良識的で、会話がアナーキーになりがちな部員をたしなめるストッパー役でもあります。

というか主人公を除く登場人物で常識をキープしてるのが彼女くらいしかいないという。

言ってることはまともなものの、部の面々の頭のネジが外れてるせいで空気読めない子みたいに見えてしまう苦労人。

アウトドアショップの娘でありサバイバルの知識がそれなりに豊富ということで、プレッパーズ部に引き込まれます。

しかし終わって見るとこの辻花が何と言うか、一番普通に可愛いヒロインっぽかったかもですね。

八乙女 華江

高身長と体をゆらす独特のくせが特徴の上級生。見切れヤジロベー系女子。

豪快すぎるサバサバしすぎた言動が特徴で、恥じらいとか女子力を過去にハンマー投げの要領で地球外にぶん投げてしまったタイプです。

男がドン引きする下ネタを息をするように吐く危険極まりないセクハラマシーンで、もはや服を着てうごめく卑猥なるノッポ。

ひたすら下ネタ絨毯爆撃をしかけてくる最終兵器ガールですが、本作品の柱たるエロボケ会話の根幹をなしますし、その突き抜け具合がなかなかくせになるかも。

この八乙女さんだけはスピンオフ作品が出てるので、ちょっと汚れのお姉さんに乳首を攻められたい人は購入してもいいのではないでしょうか。

ツバキ

家に引きこもってディープウェブを検索しては、死体の動画をひたすら見漁っている女の子。

かなーり特殊なヒロインですね。

自分が死ぬ瞬間のこと、人を殺すことを常に考えるという殺伐とした思想と、一般的な女子らしい感性が奇妙なバランスで成り立っているヴィラン系女子。

主人公とはネタバレになるので詳しくは言いませんが、深い因縁のある相手で戯言使いと零崎人識みたいな関係性でしょうか(古い)。

烏森 亜実花

ツバキの保護者的な役割のお姉さん。事情があるとはいえ体罰をともなう性的な嫌がらせも頻繁に行うという、心の屈折が半端ない系ヒロインです

明らかに異常者で何で萌えゲーに登場してるのかわからない、FateとかPSYCHO-PASSの世界からの迷子みたいな存在。たぶん笑顔で一個小隊を殲滅できる。

捻じれきってるとはいえ彼女なりにツバキに愛情はもっており、共依存のような関係性を保っています。

総合レビュー

ストーリー 7点

ゆるキャン△みたいな和やかな部活パートと、穏便でない言葉だけしか現れない陰謀パートが同時進行しつつ、後半から怒涛の「終末」パートに突入するみたいな構成です。

作品の根幹のテーマはずばり終末で、ぶっ飛んだ思想にも思えますがそこまで共感しにくいお題目ではないので、人は選びにくいかと。

作中でもいくつも引用されているように、世界の終わりなんてエンタメの超メジャーテーマですしね。

ただ可愛い絵柄なくせして、陰謀パートはなかなか笑いにしにくいダークな描写が満載でそれなりに尺もあるので

「あれ?これ萌えゲーだっけ?」
みたいな思いには何度かとらわれるかもです。その点は好みが分かれる可能性も。

というかドギツイ下ネタを挟むからこれが萌えゲーだという意識を保てますが、もしなかったらただのジュブナイル系SFっぽい気もしますね。セカイ系とも言えそうです

ゆえに誰にでもおすすめ!って作品ではないですが、スリリングな展開も多くて読みごたえは十分。闇描写は多いものの鬱グロ胸糞みたいな地雷少なめで、そんなにとっつきにくくもないかなと。

まあ結末に近づくほどちょっと話が概念めいてきて、わかりにくい物語にはなってしまうのですが・・・。

正直読者に対してあんまり親切でない感はあります。でも哲学的な話が好きな人にははまるかも。

ワードセンス 8点

登場人物たちの会話がなかなかにクレイジーで面白かったです。

件の八乙女を中心にとにかく下ネタ系のお笑いがぶっこまれまくる!そして主人公がツッコミまくる!・・・という過労死系コメディーが本作のもうひとつの基本路線

キレのあるボケツッコミの応酬というより、頭のいかれた面々の織りなすハイテンションナンセンスコメディみたいな感じかなと。

とかく下ネタが大渋滞なのでお下劣系のボケが嫌いとかだとあれですが、そうでなければ大いに楽しめると思います。

例えとかも秀逸です。いやまあマジで下ネタギャグ満載なんですが。。。

この世界一下品な歌を聞いたときは意識が飛びかけました。

キャラクター 7.5点

メインヒロインはおそらく更紗、辻花、八乙女の3人なんですが、ヒロインズ3人がそれぞれ違ったベクトルに振り切っているので、なかなか他作品にはない魅力があると思います。

でも独特の世界観もあってか可愛い、嫁にしたい、ぺろぺろしたいみたいな一般的なヒロインズとはちょっと方向性が異なり、いちゃいちゃとかもかなり少なめなので、恋愛要素に期待してプレイすると齟齬があるかも。

まあストーリー的にも心を通わせるというより、地獄を共有する話っぽいですしね。

グラフィック&エロス 7点

わりと重要でもなさそうな場面でもCGを使ってますし、グラフィックはけっこう贅沢に感じました。ヒロインが主人公の乳首を攻めるシーンでCG使うとか最高にパンクだぜ。

でも絶妙に台詞とキャラの表情やポーズの向きがずれてるところがあり、うん?と思った部分がちょこちょこ。

プレイ内容は普通ですが、シチュエーション自体はけっこうマニアックめかなと。主に場所とか状況とかが。

でもサービスシーンが物語とリンクしているというか、流れ的にある程度必然性を持っていたのはけっこう良かったです。

シーン数は正直少なめなものの、世の中には防空壕でツンデレ美少女に亀甲縛りをかまして空襲の爆撃音をBGMにしたいって人もいると思うので、そういう人にはマッチしそうですね!
(※本編にそのような倒錯したシーンはございません)

その他加点要素 4点

私はこういう作品も好きですが、まあそれなりに好き嫌いは分かれそうにも思います。

エロゲー批評空間とかわりと意見がばらついていた気がしますね。

あとまあプラスでもマイナスでもないですが、BGMが特徴的でした。なんだろう、ファミコン時代の桃鉄みたいな。ただ退廃的な世界観とは相性良さげでした。

ちょっと不思議な世界を味わってみたい人は、ぜひプレイしてみてください~。

評価

  • ストーリー : 7点
  • ワードセンス : 8点
  • キャラクター : 7.5点
  • エロ&グラフィック : 7点
  • その他 : 4点

総合評価:33.5点(50点満点)

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