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千恋*万花 感想&レビュー動画
概要
「千恋*万花」は2016年に、ゆずそふとより発売されたゲーム。 同年の萌えゲーアワードで準大賞を受賞した作品。
2020年からはsteam、2022年にはswitchでもDL販売も開始して、世界をまたにかけて売れました。売り上げ累計20万本over。
物語としては王道の和風ファンタジー。とにかくヒロインが可愛く心理描写が丁寧で、まさに萌えゲーの教科書とでも言えそうな内容です。マニアックな趣味の方でなければどんな方でも楽しめるかと。茉子とえっ・・・
評価
- ストーリー : 8点
- ワードセンス : 7.5点
- キャラクター : 8.5点
- エロ&グラフィック : 8.5点
- その他 : 5点
総合評価:37.5点(50点満点)
あらすじ
周囲から忌まわしい村として疎まれるものの、大自然に囲まれた美しい温泉地として観光客で栄える町「穂織」。
かつて住んでいたこの場所を「有地将臣」は親戚の旅館の手伝いという目的のため再び訪れていた。
この地には妖怪を祓うとされる伝説の刀「叢雨丸」が祀られている。
それは石に刺さっており、どんな力自慢でも抜くことができない・・・はずだった。
しかし主人公が手にした途端、ポキッと刀が折れてしまう。
こうして意図せずして伝説の刀の所有者となってしまった主人公の、穂織とこの町の呪いめいた因果にとらわれてしまった女の子たちを救うための奮闘が始まるのだった。
・・・といったストーリーです。
話が変に込み入っていたり設定がわかりにくかったりする部分もないので、非常に読みやすいと思います。
キャラクター紹介
朝武 芳乃
由緒正しき神社「建実神社」の巫女。
穂織という町全体においても特別であり象徴的な存在で、町民からは「巫女姫様」として慕われている。
主人公がうっかり刀を折ってしまったため、その責任を償うために彼女と結婚することを求められるところから物語は始まります。素手で日本刀を折る鍛錬しなきゃ。
最初の方はどこか冷淡でよそよそしい態度で接してきますが、それは自分の立場への責任感の強さの裏返しで、根はすごく情に厚くて優しい性格。
生まれながらにして特別な存在、清楚で優美な立ち振る舞い、そして薄幸の美女を感じさせる陰のある生い立ち。
「正統派ヒロイン」というお題で額縁に飾れそうな女の子です。
でも年相応に不器用で天然なところもあって、放っておくと悩む→暴走→恥ずかしいことをして自爆→悶絶→悩むを延々とリピートします。
まさにひとり無限黒歴史製造機。心労でハゲそう。
センターヒロインだけに個別ルートも物語の中心に迫るような話となります。
猫耳がビジュアル以外であんまり活きなかったのだけが残念。なぜ耳攻めをしなかったのか。
でもまあケモ耳は微妙に好き嫌いを分けそうな部分ですし、あんまり推しすぎてもって事情はあるかもですね。
常陸 茉子
朝武家に護衛として仕えている家のひとり娘。
古風な衣装と肩書に反して、わりと茶目っ気のある現代っ子というあたりが特徴。
お役目の関係で家事全般が得意で、細身に見えて意外と胸が大きい。
しかも鍛えているだけに健康的な色気を纏っており、特殊性癖な紳士でなければ誰からも求婚されそうな女の子です。
ふだんはわりと泰然としてますが、実はめちゃくちゃ初心でお家柄もあって色恋と無縁だったので、攻められると激よわで過剰な自己否定に走ってしまうのが萌えポイント。
生まれの環境のせいもありますが、かなり意固地に自分をおさえつけているところがあって個別ルートはその内に秘めた乙女の封印をといていくような話になります。
キャラは最高に可愛いと思うんですが。。。ストーリーは何となくはまらなかったんですよね。恋愛面を推しすぎてたからかなあ。恋で全てを強引に解決しすぎというか。
いやこれ萌えゲーなので、それがあるべき姿なのかもしれないですが。
あと忘れちゃいけないのがシリーズ恒例のひとりH担当です。
何を隠そう彼女が伝説の「茉子とエッチ」という胡乱なワードで、発売当時のTwitterのトレンドをさらったとされる、ゆずそふとが生み出した傑物。
巷では同ブランドの最高傑作との呼び声もありますね。
ムラサメ
神刀「叢雨丸」の管理者。
いたいけない少女のようだが数百年もの間、刀と町を守ってきた超常的な存在。
一部の人間にしか姿を見たり声を聞くことはできない。幽霊ではない。
この世にとどまっている時間は長くて言葉遣いも古めかしいものの、性格はビジュアルのまんまで全く威厳を感じられない子供っぽくて寂しがりやな性格。
みんなからいじられる系の癒し系ちびっ子とみせかけて、実は泣きパート担当です。
神刀の管理者になるなんて当然それなりの理由があるでして、人ならぬ身で生きる誰の目にも触れない孤独やいじらしすぎる健気さが本編では描かれていて、なにげに個別ルートのストーリーは一番好き。
バックボーンを知ってから見ると、エンディングの笑顔の一枚絵と台詞はぐっとくるんじゃないでしょうか。
レナ・リヒテナウアー
物語の途中でやてきた外国からの転校生。なんと西洋の国からはるばる日本に留学にやってきたとかで、宿で働きながら学生生活を送っています。
カタコトのべしゃり、多分な誤解を含むこてこての日本観。そしてダイナマイトなボデーとバラエティー番組にでてきそうなゲスト外国人まんまみたいな設定をしています。
純和風な世界観にはあんまりマッチしそうにない気もしますが、ここは制作サイドとしてもあえて外したんじゃないかなと。
物語の役割的にも問題の渦中から離れた場所にいる人物であるということが重要なポジションなので。
外人らしくセクシャルなことにはフルオープン。・・・ってことはなくすごい奥手でむしろそういう話題が出るたびに湯気を吹いて卒倒するタイプ。
本キャラ声優さんがむちゃくちゃ上手いと思いました。
こういうテンプレ外人って普通はギャグキャラっぽかったり、モブっぽくなりがちな気がするんですが、ちゃんとヒロインとしての可愛さを維持しており、演技力の高さに珍しく震えてしまいました。
あと、あまりこういう事は言わないのですが、レナルートは最後にプレイするのがおすすめです。
というのも彼女のルートも別にロックされていたりはせず最初から攻略できるんですが、すごいグランドエンディング感が強いんですよね。
ほかの三人が過去から続く因果の内に縛られたヒロインを解き放つ話だとすれば、レナルートは因果の外側から運命を壊して完全決着するような話で、もう青空に「千恋万花・完!」って出しても全くおかしくない終わりとなります。
その後別ルートやるのが白けるとまでは言いませんが、彼女のルートで締めるのが物語としてキレイだと思いますね。
馬庭 芦花
主人公がかつて穂織に住んでいた頃に幼馴染だったお姉さん。
いまは実家の甘味処を継いで経営者のような立場で店を切り盛りしています。
まだ慣れない店商売に四苦八苦しており、日々あれやこれやと心を砕いている大人な悩みを抱えている系のヒロインです。
くだけた話し方と既知ゆえの近い距離感が絶妙な心地よさ。
こういうお姉さんぶりたいけど結局丸め込まれてしまう年上キャラは、ゆずそふと作品では多い気がしますね。茉優パイセンとか。
実はキャラとしては一番好き。なんで幼馴染ポジなのにメインヒロインじゃないんや(血涙)
鞍馬 小春
主人公の悪友の妹で、こちらもしばらく疎遠になっていたものの幼馴染のような存在。
素直で頑張り屋でひねくれているところもない、直球の妹系ヒロインといえましょう。
昔からの縁もあって初期状態で好感度はかなり高め。
いろんな意味で芦花とは対になるヒロインですね。キャラ的にもストーリー的にも。
総合レビュー
ストーリー 8点 ワードセンス 7.5点
全体的としては古くから伝わる呪いと因果にまつわるストーリーなので、まあまあシビアな物語なんですが、そこまでダークな世界観ではありません。
合間合間でほのぼの学園パートやいちゃいちゃパートが挟まるので決して鬱々とした感じにはならず、気軽に楽しめると思います。
あと恋愛事に限らず各登場人物の心理を葛藤や戸惑い怖れなども含めて、かなり時間をかけて描いていたのはすごく良いと思いました。
何かよくわからんけど主人公とヒロインがくっついたみたいな展開もないですし、きっちり気持ちに決着がつくまで描いてますし、非常に丁寧な造りだなと。
萌えゲーってキャラ先行でどーんと突っ走ってしまう作品もありますが、ちゃんと物語として芯があるので読了感も強かったです。
日常パートの子ネタや恋愛描写はストーリーと同じくよくも悪くも王道系。
背中がかゆくなるような純情すぎるいちゃいちゃが魅力でしょう。
PC画面に右ストレートを叩きこめ!
もしくは3次元に絶望して腹を切れ!
妙な変化球を仕込んだりしないぶん安心感はありますが、ちょっと捻った展開が好みの人だとちょい物足りなさを感じる人もいるかもですね。
まあまどそふと作品は奇をてらわない作風が魅力でもありますが。
キャラクター 8.5点
各キャラいずれも可愛かったと思います。
特定の方向に尖っていたりパンチがあるというより、全パラメーターが平均的に高いという感じでしょうか。マイナス評価をつける隙が存在しないみたいな。
レナだけじゃっかん攻めてる感じはしますが、他の3人はとくにそう思いました。
ビジュアルや設定面が良いだけでなく、代々続く呪いという現象に雁字搦めのヒロインの心を溶かしていくような話だけに、ちゃんと気持ちの変化的な物も細かく描かれているので、感情移入もしやすかったです。
無菌室で育ったようなはちょっと・・・むしろ汚れてる子が好物ですとかでなければ、おおむね好きになれるかと。まあ優等生すぎるきらいもないではないですが。
あと主人公が非常に普通なんですが、ちゃんと強引かつカッコいいってあたりのバランスも好印象です。
グラフィック&エロス 8.5点
立ち絵の表情の変化がめっちゃ細かくて自然で、状況に合わせて変えてるからすごい手間かけてるなあと思いました。
細かい点ですが台詞と表情がちぐはぐだったり、あんまり立ち絵に変化ないと違和感があるのでこの点はすごくいいです。
サービスシーンに関しては当然がごとく健全ラブラブ系で、過激なプレイに走ったりは一切ありません。
まあこの作風で巫女調教とか始まったらビビりますが。
勢いでバーッとやっちゃうわけでなく、不器用なとこからスタートする感じが出てるというか、いい意味で童貞臭さがちゃんと出てるのが特徴でしょうか。
まあでも多くの方の想像通りだと思います。
その他加点要素 5点
恋愛要素も十分にありながら、物語の中心にしっかり歴史神話系ファンタジーが据えられていて、鬱展開みたいな人を選ぶ要素もほぼなし。
ディープでアングラな作品が好みとかでなければ万人におすすめできる作品です。萌えゲー初心者にも最適。
あと追加で取り上げるならKOTOKO氏の主題歌がかなり魅力的でした。個人的に好きな美少女ゲーム曲のTOP5には入りそう。
上品さとやらしさが絶妙に調和する歌詞が、非常に萌えゲーのテーマソングっぽくて好みです。
評価
- ストーリー : 8点
- ワードセンス : 7.5点
- キャラクター : 8.5点
- エロ&グラフィック : 8.5点
- その他 : 5点
総合評価:37.5点(50点満点)