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ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない 感想&レビュー動画
概要
「ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない」は2015~2018年にSEACOXX より発売されたゲーム。現在vol.1~3、vol.0の4本が制作されています。
2021年にWeb広告がうたれたさいに、コラ画像が大量に生産されインターネットミームとなったことで有名。
普段美少女ゲームやらない人でも何となく存在は知っているという、ある意味稀有な萌えゲーかもですね。
話題が先行ぎみなイメージもありましたが、ロープライスで遊びやすく内容も手堅く良かったです。
評価
- ストーリー : 7.5点
- ワードセンス : 8点
- キャラクター : 7点
- エロ&グラフィック : 8点
- その他 : 4点
総合評価:34.5点(50点満点)
あらすじ
舞台となるのは突如謎の感染症がはびこりはじめた世界。
原因は謎、治癒法も謎。感染症にかかった人間は100%死亡し、その後ゾンビとなって感染症の媒介者となってしまう。
この辺りは枝葉末節の違いはあれど、極めて王道なゾンビホラー物の設定っぽいですね。
ゾンビはもれなく新鮮な肉を求めて生きている人間を無差別に食いかかるんですが、主人公はゾンビに襲われることはない。
その特性を活かしつつ奇妙なサバイバル生活に身を投じていく様子が話の中心となります。
ハードボイルド小説とキャラゲーのミックスみたいな印象。
主人公だけ突き抜けたチート持ちという意味では、異世界転生物の亜種とも言えるかもしれないですね。
UIも一般的な美少女ゲームではなく、かまいたちの夜に代表されるサウンドノベル形式。
ゾンビ物ということでそこそこグロ表現は出ますが、そこまで過激でなくCGもホラーテイスト弱いので、ホラー系苦手って人でもさほど問題はないんじゃないかなと。
キャラクター紹介
武村雄介
本作の主人公であり語り部のポジションで「板垣死すとも自由は死せず」ばりに有名な台詞
「抱かせろ」を言った張本人。
設定としては最近仕事をクビになった、ごく普通の25歳もとサラリーマン。
自身も理由は不明ながらゾンビに襲われないパッシブスキル持ち。
例の切り抜きのコマだけでも何となく察せると思いますが、決して善良と言えるタイプではなく、利己的でやや倫理観の欠如した人間として描かれています。
まあ世界がこんなありさまでは、高潔な思想が役立つとも思えないですが。
基本的には彼の一人称視点で物語は進行します。
藤野深月
ゾンビまみれの世界で出会った生身人間であり、二人の弟とスーパーに籠城中。
彼女があのコマでいう「私たちのことなんだと思ってるんですか!?」と激昂している女の子であり、数え切れない大喜利のネタにされた、羨ましいのか可哀そうなのかわからない女の子。
ようは食料と引き換えに主人公に×××されちゃう人です。
容姿端麗で優等生然とした雰囲気をまとっている少女で、平時であれば勝ち組の人生を歩めた感じもありますが、クラスカーストで言えばおそらく下位で1軍の連中に屈折した感情をもっている主人公には、それが仇となってしまった形ですね。
ただ物語を通じて悲劇のヒロインってわけではなく、荒廃した世界での歪な関係ながら主人公とは奇妙な絆と愛情で結ばれていくから、不幸ばかりの女の子ってわけでもありません。
黒瀬時子
見た目は人間とほぼ変わらないがゾンビ。生命活動は行っておらず、会話など理性的な行動もしない。
主人公と同じマンションに住んでいるOLで、直接的にはほとんど物語に絡まないのですが、設定がなかなか面白いです。
男のほの暗いロマンやリビドーを一手に引き受けるポジションとでもいうべきでしょうか。
ある意味本作の象徴的な存在かも。
本筋とは関係ないアペンドストーリーでわずかにしか喋らず、メインヒロイン扱いなのにたぶん100文字くらいしか台詞ない人。
牧浦さやか
Vol.2の市役所編から登場した女医。
ゾンビたちから立てこもり救助を待つ避難者たちのリーダー的存在。
まだ若いながら医者と言う立場や大人びたたたずまいで、周りからはかなりの信頼を寄せられています。
でも実はギリギリのところで心を奮い立たせているだけで、指導者としての重責に耐えかねて精神的にはキャパオーバー寸前。
主人公にひと時反発するも、あまりに奔放なふるまいに触発されていくというキャラです。
総合レビュー
ストーリー 7.5点 ワードセンス 8点
あまりコメディ要素の入り込む余地がない、ハード世界観なゾンビサバイバルものです。
萌えゲーとしては珍しい・・・こともないか。同人系ならけっこうありそうですし。
それなりにどす黒い欲望が渦巻く作品なので純愛系しかやりません!なんて人にはちょっと勧めにくいのが本音ですが、心のどこかで抱いているような、都合が良すぎる下衆な妄想にライトを当ててくれるような物語で、私としてはなかなか痛快で面白かったです。
洋画の「パージ」とか好きならはまるかも。
常人並みの頭脳とフィジカルな主人公が、その特性を狡猾に活かしてたちまわるさまとかも、客観的に見るとクズですがリアルな人間臭くて良いですね。
ダウナーでシニカルでどこか露悪的なスタンスが、現代の物語の主人公だなあって感じがしました。
とはいえ最初から最後までダークで胸糞な話が続くってわけではありません。
むしろけっこう少年漫画的な熱めの展開も多め。
良くも悪くも全体的に作りこんでるというより「自分だけゾンビに襲われない主人公」という設定を、素材の味そのまま仕上げましたみたいな印象を受け、ぶっちゃけあちこちぶん投げて物語を畳んでる感はありますが、テンポは良いから続きが気になって一気に読んでしまいました。
インモラル系は無理でなければわりと人を選ばず楽しめるんじゃないかなと。でもvol.3の牧浦先生の扱いはもう少しどうにかならなかったんだろうか。
キャラクター 7点
主人公がなかなか人格に問題ありな人物なんですが、ある程度事前に情報があったことに加えて世紀末な世界観もあって、思ったほど嫌悪感を抱きませんでした。
むしろ読み手に代わって理性の解放を体現してくれるという意味では、これくらいの悪どさが適切かなと。
各ヒロインについては・・・それほど際立った特徴がないように感じます。これ別に悪い意味じゃなく。
多くの萌えゲーにおいて主人公はヒロインを際立たせる黒子、もしくはヒロインを救う導き手みたいな立ち位置ですが、本作はあくまで主人公が世界の中心で、その心の光と闇にいろいろな面からスポットライトを当てるために、ヒロインが存在してるような構造かな思っています。
ゆえに単体のキャラとしては評価しにくいんですよね。
いずれにしてもキャラを楽しむというよりストーリーを楽しむゲーム、と分類しています。
グラフィック&エロス 8点
サービスシーンに関しては正直予想よりはるかに良かったです。
小説ベースだからか一般的な萌えゲーとちょっと雰囲気違いまして、官能描写がすごく具体的というか。
感情とか会話のような目に見えないものではなく、どの物体がどう絡まりあってどうぐっちょんぐっょんになっているかとかが、しっかりテキストになっていて興奮しました。
これまでの解説だと凌辱的なHシーンを想像するかもですが、voi.1の前半以降はちゃんとラブラブ系。むしろひたむきな純愛とも評せます。
倫理に反するのは鬱になるから無理っーて人でも、たぶん許容できる範囲なんじゃないかなーと。
ただ立ち絵は一般的な萌えゲーと比べるとバリエーション少なくはありますね。表情と衣装チェンジのみでポージングも固定ですし。
別に寂しいとは思いませんでしたが。
その他加点要素 4点
総合的に見て予想よりダークなわけではなく、胸糞やグロ要素もマイルドで遊びやすい作品でした。
爆発的なミームの流れに乗ってしまったことで、ちょっとイロモノっぽい扱いを受けてる節もありますが、顔に陰を落としてイキリながら「抱かせろ」とか言っちゃう主人公に抵抗なければ、ぜひプレイしてほしい萌えゲーです。
評価
- ストーリー : 7.5点
- ワードセンス : 8点
- キャラクター : 7点
- エロ&グラフィック : 8点
- その他 : 4点
総合評価:34.5点(50点満点)