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恋×シンアイ彼女 感想&レビュー動画
概要

2015年に「Us:track」より発売されたゲーム。
同ブランドとしては現段階で唯一の作品。
恋愛に苦手意識のある小説家志望の主人公による、直球の青春アドベンチャー・・・のはずだが評価はなかなかに賛否両輪。まあ主にあのヒロインのせいなのですが・・・。
多くの人にオススメって感じではないですが、透明感のある世界観は非常に魅力的です。
評価
- ストーリー : 7.5点
- ワードセンス : 7点
- キャラクター : 7点
- エロ&グラフィック : 7.5点
- その他 : 3点
総合評価:32点(50点満点)
※本作に関してはいつもに増してネタバレ要素強いです注意!!
あらすじ

妹と二人で暮らす学生「國見洸太郎」は、平凡な学生らしくぼんやりとした日々を送っていた。
文芸部員でもある彼には小説家になるというささやかな夢がある。
しかし彼にはどうしても書けないジャンルの話があった。
それは恋愛小説。かつて苦い経験から恋愛に関することを書くのに激しい抵抗があったのだ。
しかし新学期に登校してみると思いもよらぬ展開が待ち受けていた。何とかつて思いを寄せていた幼馴染とかつて仲が良かった旧友の女の子に席を挟まれていたのである。
期せずして「恋愛小説」の主人公のような状況に置かれてしまう彼に、どんな物語が待ち受けているのだろうか・・・といったストーリーです。
基本路線は爽やかな青春もので間違いありません。
キャラクター紹介
姫野 星奏

引っ越しで離ればなれになってしまったが、かつては同じ街で暮らしていた幼馴染。
新学期に登校したらなぜか右隣の席に座っていた。
穏やかで人当たりも良いが、おとなしい性格もあって教室ではあまり目立たず、世間ずれした感じも受けない座敷童子系ヒロイン。
あまりにもマイペースでホワホワしてるが、確固とした自分の世界をもっている不思議な少女。
実は小学生の頃に仲良くしていた時期があり思い焦がれていた過去も。
結局恋は実らなかったんですが、彼女との思い出のために主人公は消えかけの文芸部を守り続けています。なかなかロマンチックな設定ですね。
再会してめでたく彼女も文芸部に加わってくれたことから、過去の思い出が掘り起こされていく、というのが本作の核となる部分でもあります。
新堂 彩音

数年前まで仲が良かったが、進学に伴い別々の学校に行くことになったので疎遠になった同級生。
でも新学期に登校したらなぜか左隣に座ってた。これぞ主人公補正。
久々に会ったら見た目の雰囲気だけでなく態度もなんか変わっていて、常に何となく怒ってますオーラを出してくる怒りんぼ系ヒロイン。初日からじりじりと圧をかけてきます。
本当はもっと主人公と仲良くしたいんだけど過去にちょっといろいろあって、本人の勝気な性格もあって素直になれず、突っ張ってるところが可愛いですね。
いかにもなツンデレちょろかわヒロインで私はメインの4人のなかで一番好きかも。

この1枚絵が非常に3人の関係を示してていいと思います。うっ・・・なんか負けヒロイン臭が・・・。
でも大丈夫これアニメやラノベじゃないので。
一方的な負けヒロインにはなりません!これが美少女ゲームという媒体の良さか。
小鞠 ゆい

学園の花壇のお世話をしている年下の少女。
体格が小柄でいつもプルプル震えているハムスター系ヒロイン。
お花と会話できます。でも魔法少女ではありません。
過去の出会いがきっかけで主人公に好意をもっているらしく、不器用ながらもいじらしく積極的に好き好き攻勢を仕掛けてきます。
愛が強すぎて若干サイコパスみを感じるのが可愛い?
とはいえもちろんスークールデイズみたいな結末にはならないです。最後まで可愛いみんなのゆいちゃんで終わります。
個別としては学園の統廃合に伴う旧校舎の取り壊し案に巻き込まれるかたちで、世話をしていた花壇が撤去されることになって、彼女を守るために協力することから仲良くなってって話になります。
四条 凛香

平凡な学生たちを束ねるクールビューティーな生徒会長様。
生徒会長っていうと萌えゲーに限らず創作のなかでは、かなりの曲者として描かれることが多いように思いますが、本作はそこまでぶっ飛んでる感じではないです。
仕事はできますがそれなりに骨を折っているようですし、ちょっと人をからかうのが好きだけど価値観もわりと常識的。妙な野心とかもありません。
学園側の事情で部活の統廃合を進めていて、弱小クラブまったなしの文芸部にもメスをいれようとしたことで関係ができ、思わぬ方向に話が転がっていくって感じでしょうか。
付き合い始めるとSが開眼します。けっこうマイルドめですが。個人的にはもっと突き抜けて欲しかったですね。
総合レビュー
ストーリー 7.5点

全体としてはどゆるやかな学園日常物です。
超展開も少ないですし、画風も音楽も言葉選びも透明感があって、無垢すぎてあんまり萌えゲーっぽくないとすら思えるほど。
星奏ルート以外は王道な内容でわりと地味、ではあるんですがポイントポイントで印象的な場面や台詞があって良かったですね。何よりこう作品に漂う空気感がいい。
在りし日の何者でもなく過ごしていた時間を思い起こさせるような、浸っていたくなるようなセンチメンタルな雰囲気をまとっていると思います。
でも爽やかさと同じくらい思春期独特の、恥ずかしさとか後悔とかやるせなさみたいなほろ苦めな感情も物語全体を包んでいるので、人によっては幼き日の未熟な自分の感情をがっすんがっすん小突き回されるようで苦しみを覚えたりするかも。
でももう一度青春を取り戻したい、そう思わせてくれる物語でした。
星奏ルート以外、は
そう本作の賛否を分けている要因は、他でもないセンターヒロインとも言える「姫野 星奏」のルートなんです。
なるべくネタバレにならないよう気をつけながら話しますが、星奏ルートはわかりやすくハッピーエンドって感じではありません。
いや人によってはBADエンドとすら思うかもしれないです。
正直私も「あれー?これでCパート終わり?」と思いました。
現代の萌えゲーは失恋ものとかNTRとか調教みたいにインモラル前提の作品でなければ、ハッピーエンドに着地しやすい気がしますしね。
もちろん萌えゲーはHAPPY ENDじゃなきゃダメってことはなく、「金色ラブリッチェ」とか「Summer Pockets」みたいな、幸せな恋人の日々が続くというエンドじゃなくても高評価な作品はありますが、その結末に至るのは妥当だと思えるようなそれなり「理由」がないと
「いやそういうのは求めてない」
ってユーザーの反発を買うのは致し方ない気もします。つまり本作は・・・
というわけで万人にオススメはできませんが、本当に一途な純愛の話である点は間違いないと最後に付け加えておきます。
ワードセンス 7点

文章としては私小説のような、読み手に語りかけるような文体が特徴。
主人公の気持ちや思いを綴るテキストが多く、作品としてのテーマは重めですが終始暗い雰囲気というわけでもないです。
ただちょっとコメディーパートが・・・。
言葉を選ばずに言うとちょっとネタがわかりにくボケが多い気がしました。
あと露骨に有名映画や某お笑い芸人のパロがぶっこまれたりしたのが、そんな無理に笑いをとらんでもとは何度か思ったかもです。
恋に悩みもがく主人公の心理描写とかは良かったからなおさら。
キャラクター 7点 グラフィック&エロス 7.5点

爽やかな世界観を反映してか、各キャラ変な萌え設定とかフェチ設定とかもっておらずに
非常にピュアな感じがします。
サービスシーンもけっこうあっさりめ。
というかあまりにノーセクシュアルな世界観のせいか、ことが始まるとなんかちょっと「え?」って違和感すら感じました。
CGもこう映画のワンカット切り抜きみたいでいいですね。
ですがねこ着ぐるみゆいちゃんじゃなくて、半裸の男が5人並んでるカットに枠を1枚割いたのは断じて許さない。愛美さんの2●歳の制服姿なら許した。
その他加点要素 3点

やっぱこのストーリーをどう見るかでしょうか。
手放しで評価はしにくいので加点とはいきませんが、心動かされた部分は十二分にあるので何とも・・・。
ただまあ苛烈すぎたかなと思います。この作品の「恋」は。ちょっと共感するには温度が高すぎるというか。
青春の甘酸っぱい恋とはひと味違う、命すら焦がす恋物語に興味ある方はぜひ。
評価
- ストーリー : 7.5点
- ワードセンス : 7点
- キャラクター : 7点
- エロ&グラフィック : 7.5点
- その他 : 3点
総合評価:32点(50点満点)